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百々徹 PIT INN LIVE 2006 0312

 待望の百々徹(DODO)氏のジャズライブ、新宿ピットインにて聴いてきました。リーダーのトリオを聴くのは初めてで、三枚目のアルバムが出てそちらも素晴らしい出来だったのでなにがなんでも今回は聴きに行かねばとの思いで予約までして出陣。その甲斐ありまして前から三列目のピアノの鍵盤が良く見える席に座れました。ちなみに今回のメンバーは百々徹(P) 安カ川大樹(B) John Lamkin(Ds)であります。

 さあ、どのように感想を述べたらいいのか。とにかくやられました。もう、ぐうの音もでないほど、徹底的にやられてしまい、まいったとしか言葉がでません。一発目の音が出た瞬間から空間が切り裂かれるようなソリッドさ、音が突き刺さるような絶妙なリズム、そして熱を帯びた演奏の裏にクールな制御があり、そのピアノタッチは百々氏ならではの音色で乱れることなく硬質に響きわたります。そしてあくまでもオリジナルにこだわる姿勢、楽曲はもちろん音色、フレーズ、リズムとジャズにはまだこんなに可能性があったのかと思わせる過去に聴いたことのないスタイルを貫いています。それは徹底的に、妥協をゆるさないジャズに対する敬意からくるのでしょうか、先人達がそうしてきたように先をみて今ジャズを演奏することの意味とは、また今ジャズを聴くことの意味とは、という問題をピアノを通して突きつけてきているようにすら感じてしまいます。

 ほんとうに大げさに思うかもしれませんが、これは事件です。このピアニストが日本人として存在しこういうジャズを考え演奏しているというのは凄い事件だと思うしかないです。2セット通して2時間半あまり、かなり長時間堪能させていただきましたが、まったく飽きることがない、というかジャズとしてのマンネリがない、セッションにみられるようなお決まりというのがほとんどなく、バッキングひとつにとってもアイディアがあり、ソロを渡すところでもスリリングな構成になっているわけで、とかくアバウトになりがちなジャズがぐっと引き締まりハッとする瞬間の連続なのであります。もちろんニューシネマパラダイスの愛のテーマなどでみせるバラードの美しさはまた彼のもうひとつの側面を見せ、繊細でひとつの曇りもない透明感のある音色とリリカルな表現もまた他のピアニストとは一線を画しており、弾き終わったあとに響き渡る音の余韻に観客は息をのみかなり長い静寂に拍手をしないで浸っていたのは、百々氏のピアノがそれだけの説得力があるという証拠でありましょう。

 こう書いていてもこの素晴らしさをどう伝えればいいのか、言葉のもどかしさを感じずにはいられないわけでとにかく多くの人に聴いていただきたいのです。CDも素晴らしいのですが、ライブはもの凄い完成度とまとめあげていく集中力に満ちた、本当にある意味ぶっ飛んだ凄さのあるものでありました。彼の知的で緻密なプレイの部分と熱く盛り上がりある意味狂気が潜むプレイの部分が交差していく様は目を離す隙がなくそれはスリリングでありまして、またその合間にみせる独特のユーモアにはにやっとさせられジャズがエンターテインメントであるという点にもすっと戻してくれる、ああ、これは21世紀のジャズだなあと思わずにはいられませんでした。

 ドラムのJohn Lamkinのリズムは緻密な楽曲を実にパワフルにグルーブさせ、安カ川氏のベースとともに丁々発止の掛け合いはまた目を見張るものがありました。それにしても二人とも凄腕のプレイヤーでありまして、たしかに百々氏の難曲の数々を演奏するにはリズム隊もかなりのテクニックを要求されますね。それに見事に応え、さらに度肝を抜く演奏を昨晩は披露してくれたと思います。(あれだけ難しいリズムをあの速さで弾きまくる安カ川氏のベースは凄いなあ、でもそうとう疲れただろうなー)

 いくら書いても昨晩のことを伝えきれないのですが最後にひとつ。僕はエヴァンスもマイルスもコルトレーンもタイムリーでもなく生でも聴くことはできなかった時代に生きていて不幸だと思う先輩もいるでしょうが、今この21世紀に百々徹氏のジャズを聴くことができる幸せ、喜びがあるのだと昨晩は深く心に刻みこんだのであります。(そしてその余韻とともに酩酊したのは言うまでもありません)

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コメント

前の回にもコメントを書きました。アクセス数がすごいですね。私も最近移動した方が良いか考えちゃいます。YAHOOにアドレスを残しておけばいいのですものね。ジャズはよく分かりませんのでコメントが書けませんが、マンハッタントランスファが好きです。日本でも彼等のショーを20年以上前に見たことがありましたが、昨年こちらに彼等が来てコンサートを聴きに行きましたが、最高でした。
日本と違い目の前で彼等の姿とハーモニーを聞けて感激でした。

正直移動してよかったとほんと、思います。ヤフーはあれだけのユーザーいてあの環境はあんまりだと思うのですが。
マントラ懐かしいです。偶然なのですが、昨晩お客様がお持ちになったCDでマントラのバードランドを久しぶりに聞いたばかりで偶然に驚いてます。

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» 百々徹 3rdアルバム「DoDo3」。 [放送作家・松本康男のウェブサイト]
《カミさん観察日誌》  来たる2006年2月22日(土)! カミさんのお兄さんがCDを出しまーす!  NY在住の天才ピアニスト百々徹(どどとおる)が、満を持してリリースする3枚目のニューアルバム。その名も「DoDo3」!!  これは一家に3枚の必聴盤ですよー! 1枚は鑑賞用。もう1枚は保存用。残る1枚は、贈答用にぜひどうぞー!  ちなみに「DoDo」の読み方は「ドゥードゥー」ではなく「ドド」です。  そう、カミさんの旧姓は「百々(ドド)」なんです。珍しい名前でしょ? 僕は、カミさんと出逢うまで、まわ... [続きを読む]

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