« 影の立役者? | トップページ | 新緑 »

リアリズムの果て

Rimg0007_10  この場所にくるのはもしかして20数年ぶりでありましょうか。とはいっても、僕が昔訪れたのは通りをはさんで反対側、音楽大学の方。上野の東京藝術大学は僕のまさに青春時代の象徴でもあります。

 もちろん僕が芸大に入学できたわけもなく、受験をしたというだけでありますがあの当時、僕は民俗音楽の研究がしたいと思い、その分野で特に有名な小泉文夫先生に指導を仰ぎたいと音楽理論科を受験をしたのであります。ろくに勉強もしないため、もちろん失敗しまして浪人して翌年も受けるつもりでしたがその夏に小泉先生が急死してしまいかなり深い挫折を18歳にして味わうということになるのですが、それはまた別の時にお話するとして、芸大に来たのはそれ以来ということになりましょうか。

Rimg0008_11  昨日はバイトの京子ちゃんの友人であるSさん(Sさんは芸大の美術のほうでお仕事をなさっています)から芸大美術館で現在おこなわれているエルンスト・バルラハ展のチケットをいただいたので連れのお方(昨日もお休みのため)と行ってまいりました。

 エルンスト・バルラハ(1870-1938)はドイツ表現主義の画家であり彫刻家、戯曲家でもあります。この時代は第一次、二次世界大戦の影響が色濃くでた作品が多く見るほうもなかなか中途半端に見ることは許されないという力を持った作品が多いと思います。同じ表現主義にくくられるエゴンシーレーやルオー、ノルデ、またはドイツではありませんがムンクなどと同じく、バルラハにも内面の苦悩、孤独、心の奥に潜む狂気などが作品に如実に現れていると思います。ただ、バルラハはどの作品にもそういう人間の業を暖かく包むなにかも合わせて作品に投影しているしているように僕は感じました。人間のどうしようもない部分を突き放してみるだけではなく、それをもう一度聖母がだきかかえるような、まるで慈悲のようなものが、特に後期の作品群にはあるようも思えます。決して宗教的ではないのですが、それでも愚かしい人間でありながらだからこそ救済されなければならない、というような俯瞰的な視線も感じたのであります。

 さて、今までバルラハ深く知ることも無く、ちゃんとこれだけ見たのも当然初めてなのですが、初期から見ていくともの凄いデッサン力を持っている人だということがわかる。徹底した観察とデッサン、そしてそこからデフォルメしながら再構築していく造形力が素晴らしいです。それだけのデッサン力が初めにあって無駄な部分がそぎ落とされ、ある意味、塊として構築された彫刻の数々はじっくり見ているうちにその局面がものすごく精密な線で構成されているということがわかってくる。現在であればコンピュータで解析するようなことがこのバルラハの頭の中では普通に行われていたように思えるほど、その作品一つ一つには多重に重なる線から面、形が構成され、たとえラフなスケッチでさえそういうものが根底にあるのだろうと思わせるものでありました。

 この無駄を省き、デフォルメしていく過程において、実はその裏に徹底的な緻密なデッサンがあり、さらにそのデフォルメした面も無数の線で構成されている、というのはやはり西洋美術であるなあ、と改めて思います。この間、見てきたブリヂストン美術館での水墨画などにみられる東洋のデフォルメ、筆の勢いや使い方、墨のにじませ方などで形や面を描いていくものとはまるで違う。バルラハのあの造形と言うのは徹底したリアリズムの果てにああいう形に結実するのか、と思うのです。東洋の場合は最初からそのリアリズムがない。はじめてそのものに対した時からゆがんだり、靄でかすんだり、またはもともと無いものが見えたり、その時の感じ方で現実が変化していく。まあ、だから日本の浮世絵などがフランスの印象派に評価され受け入れられたのでありましょうが。このドイツにおける東洋とは明らかに違う徹底したリアリズムの後にバルラハのような造形にたどり着くというのはなかなか興味深いものがありました。

 造形にたいする真摯な姿勢、そして人間の内面を掘り下げそれを作品にいかに投影していくか、さらに20世紀の戦争における悲惨な状況を芸術家としてどう回答をだすのか、すべてにおいて見る側もある重さを持って受け止めなくてはならない、エルンスト・バルラハ展は大変有意義で勉強になるものでありました。

« 影の立役者? | トップページ | 新緑 »

わたくしの日常」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42971/1931530

この記事へのトラックバック一覧です: リアリズムの果て:

» shit eater []
scat lesbian scatsex forums [続きを読む]

» boy models teen []
teen nudist pictures teen tickling orgasm teen ga... [続きを読む]

» toilet spycams []
bobs lesbian watersports bart ... [続きを読む]

» nude amateurs []
free homemade porn homemade soap wholesale wwamateurs [続きを読む]

» spermswap []
ejaculating sperm sperm facials possible to suck my own penis [続きを読む]

» bondage fiction []
non nude teen anna kournikova camel toe japanimation [続きを読む]

» bondage wizard []
saran wrap bondage bdsmcafe [続きを読む]

» bukake japanese []
eating sperm stripper blowjobs [続きを読む]

» footfetish []
gay foot fetish restless legs muscular legs [続きを読む]

« 影の立役者? | トップページ | 新緑 »

twitter

  • twitter

最近のトラックバック

2015年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ