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BRAD MEHLDAU TRIO IN TOKYO 2006

Mehldau_1  ついに念願叶ってブラッドメルドートリオのライブを初めて聴くことができました。場所は東京オペラシティ、立派なパイプオルガンのあるクラシック用のホールであります。実際、ジャズを大きなホールで聴くのはなんだかなあと思っていましたが行って見ますとわりとこじんまりとしたホールで最後列にちかい席でしたがそれでも舞台をちゃんと見れて十分満足できる席であります。雰囲気も天上が高く、木の質感に品のあるホールでして、そうかメルドーの音楽ならこういう場所も悪くないかも、と思い開演を待ちました。

 ラリーグラナディア(ベース)、ジェフバラード(ドラム)そしてブラッドメルドーが舞台に出てきて音が出た瞬間に彼らの世界にぐっとひきこまれました。メルドーの繊細なタッチはあきらかにいままでのジャズピアニストとは一線を画すものでそれに序盤はラリーのベースとジェフのドラムが神経質なぐらい メルドーに合わせようとしすぎて若干かみあっていない印象がありました。が、すぐに二人とも自由な、というかメルドーの意図する曲のスペースを一杯に使いながら、伸びたり縮んだりするようなうねりを三人で生み出していきます。お互いに相手の音に集中しながらそこに強力な磁場のようなものをインプロビゼーションで作り上げていく、それは過去にあるジャズの即興を超えて明らかに新しい音を紡ぎだしているのです。

 それはもの凄い集中力で聞き手に迫り、対応するこちら側も一時も目が離せず正直ぐったりするぐらいなのですが、この不思議ともいえる音の空間にはまり僕は金縛りにあったような感じでありました。コンサートは中盤から後半に向かい、そのうねりはさらに増幅されてメルドーの世界にただただ圧倒されていきます。ジャズのコンサートなのに聴衆は固唾を呑んで舞台を凝視し、耳を澄まして一音も逃さない(いや逃すことができない)状態でホール全体、もの凄い緊張感が包んでいました。

 そしてそのウネリは魂の叫びというか、孤独などうしようもないある部分に呼応し、僕は不覚にも涙が少しだけでました。悲しいとかいうのではなく何かが僕の中で彼の音に応えてしまったのです。それは決して感傷ではない、ここに真実がひとつあったということに無性に感動したのだということだと、今思います。

 コンサートはラストにビートルズの「She's leaving home」を演奏してその思いは頂点に。この曲がなんでこんなに深く、そしてそこはかとない悲しみに包まれているのか。深い呼吸をして彼の音楽を全身で堪能し、完全にやられてしまった僕であります。

 その後、なんとアンコールに5回!も応えてくれまして、メルドー自身も相当この日のこの時間と空間が離れがたかったのかも知れません。それは僕らもみな同じで最後の最後、あのレディオヘッドの「Exit Music」のイントロで地響きのような聴衆のどよめきが一瞬にして静寂となりあっという間にまた三人の磁場ができあがります。そこから一音一音に込められたメルドーの思いがひしひしと伝わってきてもう一度僕は涙がこぼれそうになるのをこらえていました。僕はこれが聴きたくてここに来たんだと改めて思いながら最後の一音の深い余韻まで染みこませる様に全身で受けとめたのであります。

 あまりに素晴らしく、こんなに圧倒的に僕が支配された音楽をライブできいたのは何年ぶりのことなのでしょうか。やはり、ここにくる必然があったのか、と帰りの電車でひとりごちていた僕でありました。

 

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デイ・イズ・ダン ブラッド・メルドー・トリオ 1曲目のレディオヘッドのカヴァー、突き抜けるような感じががすごくいい。あと7曲目も最高。最近良く聴いてるアルバムです。 7曲目の「She\'s Leaving Home」 http://www.youtube.com/watch?v=0-1Wo9aTURg... [続きを読む]

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