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出会いと別れ

 お店をやっていますとね、色々な新しいお客様との出会いがあります。近くに引っ越してきたという方が9月とか4月には必ずいらっしゃいます。そして、別れもあるといえばあるのでして、まあ、一生の別れというほどではないにしろ転勤や、引越しで遠くへいってしまうお客様もいるわけです。今年になっても、引っ越して行かれた方、行く方、そして遠くアメリカに転勤になった方もいらっしゃいます。お元気でやってますでしょうか。また、逆に転勤から帰ってきたりする方もいて、久しぶりに顔を見せてくれたりもします。

 さしづめ人間交差点といった感じがお店という場所にはありますね。5年もカウンターの中に入っておりますと、そういう人の出会い、別れというものが普通に自然なことになってくるといいますか、あまり感傷的に考えなくなってきたように思います。最初の頃は、ああ、この人もう来なくなってしまうのか、と思いがっかりしたり、寂しく思ったりもしました。もちろん、今でも一抹の寂しさは感じるのですが、僕がいるポジションは常に入り口と出口が開いていて、お客様が自由に出入りできる場所なんだと割り切るようにしています。なぜなら、新天地に向かうということは素晴らしいことなのだし、それを応援したり、前向きにがんばってほしいと願うことや、またふらっと帰ってきたりしたのを普段どおり迎えたりね、そういうのが僕の役目かしら、なんて思いましてそれはそれでいい仕事だと思うのであります。

 思えば今から数年前(店をオープンする前)、僕が札幌での仕事が頓挫して東京に帰らなければならなくなったときに、今でも付き合いのある友人のバーテンダーT君の店で最後の晩、飲みました。店が終る朝4時ごろににT君に別れを告げ、そのバーがある雑居ビルのエレベーターに乗ろうとすると、T君も一緒に乗ってきて下のタクシー乗り場まで。そしてうっすらと涙をうかべて、僕にアドベックのボトルを一本手渡してくれて「東京でがんばってください」と言われたのでした。あの時の気持ちを僕は忘れられません。帰りのタクシーの中で「やられたなあ」と呟きながら僕は心で泣きました。

 今、自分があの時のT君の立場になり、彼が言った言葉を僕も言うようになった。そして5年経ってやっと店自体がしっくりとしてきたように、僕もお客様との出会いや別れに自然体で立ち会えるようになってきました。そんな今があるのも、あの時のT君との出会いと別れがあったからなのかもしれない、そして僕も彼と同じようにようにお客様に気持ちを込めて出会いと別れを大切にしていかなければといつも思っているのであります。 

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初コメントありがとうございます!何かに付けコメントが付くというのはうれしいものですね。今後とも宜しくです!

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