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このタッチ、音にはミューズがいる

Tsujii  ジャズバーの店主のブログなのに、今回もクラシックネタ。というか、僕はもともとクラシックオタク少年だったのでして、今でも、というか、最近ジャズの方が食傷気味で、また40後半からクラシックを聞きなおそうか、と思っている今日この頃であります。

  さて、昨日の朝、ちっちゃいのと教育テレビで子供番組を見ていて、それが終わったあとに、たまたま辻井伸行さんのヴァンクライバーン国際ピアノコンクールでの20日間のドキュメントが始まりました。僕も一応、辻井さんがコンクールで優勝したこと、そして全盲のピアニストだということ、まだ若干21歳の学生だということ、そのぐらいの知識は持っていましたが、実際どういう演奏家なのかは、あまりよく解ってはいませんでした。

  なにげなく、見ていたのですが、一気に彼のピアノに引き込まれ、正直、見終わったあとこの人は本物だ、というのがはっきりわかりました。なにしろ、テレビのスピーカーというひどい音響でも、彼のピアノのタッチのすばらしさが伝わってきました。フォルティッシモでも実にのびやかで美しい音が響き、そして一つ一つの音に深い味わいがあります。そして、誠実そのものの人柄が形作られる音楽から滲み出ていて、暖かくしみじみとした情感がストイックな音楽と見事に合わさり、それは素敵な表現となっています。もう、全盲であるとか、まったく関係なく、一人の天才の誕生なんだ、とほんと思いました。

  そのドキュメントでは他のコンクール参加者もいっしょに映していて、ファイナリストになった各国のピアニストも皆凄い腕前の若手ピアニストばかり。ただ、辻井さん以外はやはりコンテストに対する執着、欲望みたいなものが垣間見えるのですが、辻井さんだけはただ音楽を演奏できる喜び、それが純粋に伝わってきて、 そういうコンテストでどうアピールするとか、審査員にどう思われているか、とか舞台の上では皆無のように見えました。そして、音、音楽、ピアノ、すべて心の目で対話しながら、音楽を壊すことなく、見事なバランスで美しい世界を作り上げていました。そう、やはりこの人の音楽をあらわすなら「誠実」これに尽きるのでは無いでしょうか。

  ひさしぶりに、ピアノを聴いて唸りました。この人の音を生で聞いてみたい、実際のコンサートに本当に行ってみたくなりました。クラシックでこんな気持ちになったのは、何十年ぶりのことです。やはり、いるんですね、ミューズが降りてくる人が。

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ジャズその他音楽」カテゴリの記事

コメント

全盲のピアニストということだけに
注目が集まっているような印象でした
こんど
ゆっくり聴いてみたいですね

ぜひ聴いてみてください。ほんとうに素晴らしいピアニストだと思います。

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