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ちょっと変な、これぞ迷盤フュージョンミュージック(1)

 あまりにクラシックネタばかりでもいかん、と思い、新企画を考えました。クラシックでも思うのですが、世の中、当然ですがこれは素晴らしいというCDばかりではありません。とても、普通の人にはお奨めできない、へんなアルバムというのがかなりあります。ましてや、80年代あたりのフュージョンという音楽には、チープで今だったらかなり笑えるアルバムがあるのを僕は知っております。

 それで、この21世紀にそのバカバカな変なアルバムをもう一度聴いてみると・・・・・それはそれ、けっこう楽しめるのであります。だって、大真面目にやったのに、今聴くとすげー間抜けだったり、カッコよくやったつもりが時間が過ぎると・・・・あらら-というようなのがね、なかなか泣けるのよ、さすがに30年近くたってくると。

 なにしろ、このフュージョンというのが流行った70年代後半から80年代はバブルの前であり、学生運動も終って、みんななんか浮き足立って、もう難しく考えることないじゃん!楽しくやったもん勝ち、といった感じで、楽天的な日常でございました。今となっては、諸行無常、この世は移ろい行くものでありまして、あっという間にバブルがやってきて崩壊、この手の音楽もいっしょに霧散していった(もちろんその後もやってる人たちも多数おりますがブームとしてはね)のであります。

 そのはかない時代のチープでキッチュな(もうこんな書き方自体が80年代ぽい文体)、でもなんか、しょうがねえなあ、と頭をなでたくなる珍品、迷品の数々をこれからご紹介していきたいと思います。ではでは、お楽しみくださいませ。

                                                          Taka_2

高中正義「TRAUMATIC 極東探偵団」

1985年

80年代日本のフュージョンを語る上で、高中はかかせないギターリスト。まあ、当時のギター少年はみんなブルーラグーンとかをコピーしたわけだが、とにかくギターリストで当時これだけ売れに売れて、またバンバンレコードを出した人は他にいないであろう。ということは、かなりチープでやばい作品もあるわけで、この「極東探偵団 」はいろいろな点で名盤(迷盤)なのである。

 実はこのアルバムには「渚・モデラート」という高中の代表曲の一曲がはいっていて、当時は確かニュース番組のエンディングに使われヒットしたのであるが、今聴くとこの曲もアレンジはかなりチープ。とにかく、このアルバムは全編にわたって打ち込みサウンドにギターをのせており、もう80年代のスッカスカのサウンドなのである。今となると子供のおもちゃでも出るだろうドラムサウンド、に軽ーいシンセがなんとも軽薄なぺらぺらのプラスチック感満載。そこに、線の細い高中のギターが乗って、あの当時ならカフェバーあたりで、色はカラフルで味はうすーいカクテルなんぞ飲みながら聴くとベストマッチ。今だと新大久保のドンキホーテで、おばちゃんがパンツを選んでいる横あたりで流れるとちょうどよい感じであろう。

 さて、このアルバムはこれだけではない。すげーゲストがいるのだ。一つは二曲目「CHINA」ではなんと、矢野顕子と松任谷由実が歌とコーラスで共演しているのだ、このチープサウンドに乗って。高中、矢野、松任谷、うーん、合っているのかどうなのか、これぞ、ごった煮というまさにフュージョン。アジアンチックな曲調とポコポコリズム、ユーミンと矢野のオリエンタルボイスが香港あたりの屋台感を醸し出し、そこに香港のチンピラっぽい顔の高中(ほんと僕は香港に住んでいたことがあるが、あの手の顔のにいちゃんけっこういます)のギターが、安いよ、早いよ、美味いよ、いい娘いるよ、とへんな日本語で声をかけてくるような(ってどんな?)曲である。とにかく必聴だ。

 そして、駄目押しでびっくりな曲がアルバムタイトルにもなっている「TRAUMATIC」。まさにトラウマになりそうな強力な一曲だ。それはなんと曲の間奏にあの岸田今日子のナレーションがはいってくるという、おお、傷だらけの天使な声(わかりますね)。曲はハードボイルド感あるサスペンス調。というか、ビョン、ビョビョンというシンセベースの音があまりに安易に使われていてこれぞサスペンス。そこに、これでもかといわんばかりに、おどろおどろしい岸田今日子の声が・・・・キャーと悲鳴が聞こえそうな、いってみれば火曜サスペンスフュージョンである。息も絶え絶えに「やつはすぐそこまできている・・・」というナレーションに、絶句すること間違いなし。ついでに、弟の岸田森も共演させたかったと思うのは僕だけではあるまい。

 この岸田今日子のナレーションを入れるというところが、パロディとしてではなく、大真面目にやっているところがとにかく泣ける。ピチカートファイブが、細川俊之や奥様は魔女のナレーターの声をアルバムに入れたりしているが、ああいうセンスの良さとは一線を画していて、実にベタに使用しているところが潔くて素敵だ。飲み屋でほろ酔い加減で思いついたマネージャーが「岸田今日子の声いれちゃうなんてどうっすかねー」「おっ、それいいね、きまり!」みたいな安直感がまさに80年代をあらわす、シンボリックな作品なのである。しかも打ち込みサウンドで、これもまさに安い、早い、美味い、そしていい娘いました!(というには恐れ多いが)という作品なのであった。これを聴かずして80年代は語れない、ね、そうでしょ、おさむちゃん・・・・・。

第一回おわり

 

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コメント

お~
CHINA~聴いてみたいです~ね

矢野顕子さんとユ~ミンが?
どういうことでしょう 
意味わかりませんです (^_-)~☆

そうです。意味がわからないのです。その意味がわからないことが頻繁にあったのが、80年代かも。

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