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2013年6月

面白いことって(3)

 あくまでも、楽しみというのは自分が楽しめるかどうか、ということでありまして、他の人がどう楽しんでいようが知ったこっちゃない、というのが僕のスタンス。このジャンルはこう楽しむべきである、なんていうことを言われるとですね、反発したくなるものであります。

3 自分なりのオリジナリティな楽しみ方を

 2で書いたようにある程度の深さに達してから、という前提でありますが、そこまで来たら自分なりの、自分流のやり方、楽しみ方、でやったほうがよい、と僕は思っています。それは何故か、というとですね、あくまでも自分にとっての面白いこと、だからなんです。本格的にアスリートになろう、とか、プロのジャズピアニストになろう、って訳じゃない。だったら、プロのマネしたってね、それはそれで窮屈なものなんですよ。

 たとえば、ジャズのアドリブなんてある程度やり方が解ったら、そこから先はいかに自分のやりたいことをばぁーっと、テクニックはまあ若干無視してもやっちまったほうが、絶対気持ちよしなんですな、これは僕流の体験ですけども。専門的な話にちょっとなりますが、ここはアボイドノート(アドリブ中、コード、スケール上避けたほうがいい音のこと)を弾いちゃいけない、なんて気にしてやるよりですな、もうガッツンとその音弾いちゃっても自分の気持ちのまま続けちゃうほうが、僕的にはいいと思っているのです。もうね、あれやっちゃいけない、これ弾いちゃいけない、ってなると、アドリブがこじんまりしてほんと、間違いはないけどちまちましたものになっちゃう。それだったら、もともとプロのようには弾けないのだから、気分だけでもプロっぽくガンガンやる、っていうのがいいじゃないですか。それやり続けたほうが、ぜったいオリジナリティのあるアドリブが弾けるのでは、なんて思っております。

 まあ、ジャズの話はこのあたりにして、他の例えですとまた音楽の話でありますが、クラシックの聴き方、というのかな、こんな楽しみ方もある、という一例を。今なんですけれど、だいたい土曜日の店の始まる2時間ぐらい前に僕の店で、常連さんでクラシック好きの方お二人と、クラシック音楽を聴く会、というのをやっています。それは、普通にクラシック音楽を鑑賞しましょう、というものではなく、かなりマニアックなやり方、言ってみればオタクな方法で楽しんでいるのですが、これがお好きな方にはたまらんというね(三人だけなんですが)時間になっています。

 ちなみに僕を含めたこの三人、それなりにクラシック音楽鑑賞歴はありまして、知識もマニアックなレベルだと思います。で、この三人ともある程度のレベルだからこそ成り立つ会であり、だからこそ面白かったりするのでして・・・。ちょっと前置きが長いですが、どういう方法かといいますと、まず、あるクラシックの名曲を一曲決めます。これがお題。そしてそのお題の曲、例えばベートーヴェンの「英雄」だったら自分の持っている「英雄」のCDを全部(または選りすぐって)土曜クラシック会に各々、持っていきます。もう、この時点で「英雄」のCDだけで何枚も、場合によっては10数枚持っている、のが普通のレベルじゃないというのが解ると思いますが、オタク力を最大に発揮して、これはほかの二人は聞いたことないんじゃねえか、と一人ほくそ笑みながら超マニアックな盤をその中に仕込んでおいたりなんかして・・・その日を待つのであります。

 当日は、もう子供がカードゲームで対戦するのと同じ感じですか、お題のCDの同じ個所、「英雄」の一楽章冒頭10分ぐらいまで、を延々三人のCDをとっかえひっかえ2時間聴いていくのです。それはですね、互いに「おお、こんな面白い演奏があったのか」という驚きもあるのですが、同じ個所を指揮者、オーケストラの違うCDを10数枚聴いていると、いかに演奏者によって曲の表現が違うのか、ということがほんとよく解りますし、巷で有名な指揮者でも「なんだよ、こいつなにも大したことやってねえじゃねえか」なんてことが、理解できたりする、のですね。これはある意味、とても勉強になるクラシック音楽の聴き方でありまして、マニアックなレベルから、さらに踏み込んだところにある楽しみなんですね。そして、この三人の会、というのが子供の秘密基地で、とっておきのカードを対決してる、ような童心に帰るような感覚すら味わえる(ほんとかい!)一石二鳥、三鳥な、スペシャルな会になっております。

 と、なにが言いたいか、と申しますと、1から3まで書いてきたことはですね、面白いことは流行に関係ないところで、マニアックな領域まで下りていき、自分なりの楽しみ方を見つけていこうじゃないか、ってことなんです。で、ここに通底している考え、とでもいいますか、意識はですね、とにかく人の目は気にしない、気にしない、あくまでも自分さえよけりゃいいもん、っていう自分勝手な世界であります。とかく、実生活じゃ自分勝手にできないじゃないですか、だったら面白がるときぐらい、徹底的に自分勝手にやろうじゃないか、諸君、ってえばるぐらいの感じ(だって、仕事でも家でもえばれないものね、ご同輩)でいいと思います、ええ。

 まあ、自分に言い聞かせてみる感じで、もっと楽しく勝手にいくぜ、と威勢よく(実生活で威勢がないので・・・)48歳中年、これからもがんばります。

 


 

今度の日曜、16日ライブです

Yukiko_3  ザジのジャズライブ、はじめてトランぺッター登場です。早川由紀子(ピアノ)に西尾健一(トランペット)、そして小林航太郎(ベース)、このメンバーで。

 早川さんはザジではおなじみですが、この組み合わせは初。これは聴き逃せません。とにかくシャープで今のジャズが聴けること間違いナシ。西尾さんのペットも期待大であります。

 ぜひ、6月のジメッとした空気をこのライブで吹き飛ばしましょう。

6月16日 日曜

バーザジにて7時半オープン8時過ぎから2セット

チャージ2800円(ドリンク別)

予約はバーザジ、伊藤まで(03-3389-4522)

面白いことって(2)

2 とにかく少し深いレベルまで突き詰める

 何度も言いますが、あくまでも僕流の面白いと思えること、の極意(えらそうですが)は、どんなことでもちょい深レベルまで無理しても降りていく、ということにあります。面白いってとびつくとですね、よく簡単に解るレベルっていうのが最初にあります。おっ、面白そうじゃん、というのは先ずここから始まるのであります。ただ、このレベルは割と飽きが早く来る、そしてもう少し面白くなるのか、と次の深いレベルに入っていく、ここまでは誰でもやる、はずなんです。

 ところが、この最初の面白そう、というレベルからちょい突っ込むとそこには簡単に理解できない壁が大体出てくる。これはスポーツなんかでもそうですよね。たとえば卓球なんて、温泉にいくとピンポンという感じで誰でも手に取って遊ぶじゃないですか。でも、これがラリーとかになると、経験者じゃないとなかなか難しい。スリッパからラケットに持ち換えるといきなりハードルが高くなるのです。で、ここで止めるか、ここから頑張って最初の壁を乗り越えていくか、で面白さの幅が広がるかどうかという展開になるのです。

 これスポーツだと解りやすいですが、もっと身近なことでもそこから突っ込んでいくと世界が広がっていくのでして、たとえば料理なんかも誰でも簡単にできる何チャラ、とかいうレシピ本からスタートして、そこから一歩踏み出して「基礎のフレンチ」とか「最初のイタリアン」なんてレシピ本にいくとほんと深ーい世界が待っております。もちろん、技術レベルが上がるので最初は無理無理、って思うものですが、そう怖がらずにとにかくやってみる。そうこうするうちにああ、こういうことなのか、ということが少なからず見えてくるというもの。そうなると、シメタものなんですね。

 そして、そして、僕が本当に言いたいのはここから。このミッドレベル(いいのか、こんな英語で)からさらにもう一歩踏み込む、プロレベルというところにちょい足を踏み入れるぐらいまでは行ってみよう、というある意味無謀な提案なんです。というかね、プロレベルになる、ということではなくて、プロレベルとはなんだ、ということが解るまでいこう、そうすると、明らかにそのレベルからしか見えないものが見えるから、ということ、それが面白いのであります。

 料理で言えば、「なになにシェフの本格イタリアンレシピ」だとか「フレンチフルコースのレシピ大全」とか先ず読んで解るようになると、これが実に楽しいのです。こんなハーブを使うのか、とか、オリーブオイルはこんな産地のものがあるのか、とか、低温の油で長時間調理する方法があるのか、とか目から鱗がいろいろでてくる。ここまでくると本当に深い面白さが身にしみて理解できるのです。

 もう一つ例えをだすと、僕は昔からジャズが好きでピアノもクラシックは弾いていたのでいつかはジャズでアドリブが自由にとれれば、ということが夢でありました。そして、学生時代からジャズの理論書を買っては最初の数ページで挫折し、いろいろな理論書だけがどんどんたまる、という悪循環。どうしても、理解するために乗り越えなければいけない壁を、ずっと乗り越えられないままでありました。

 でも、十数年も悪戦苦闘して結局なにもアドリブについてわからない。楽譜どおりに弾くことはできてもぜんぜん自由にできない。そして、37歳ぐらいかな、お店はじめてちょっと余裕ができたころに、プロのジャズピアニストの方に師事しまして、本格的にジャズを勉強しだしたのであります。

 これも、最初三か月はなにがなんだかさっぱりわからない。ただ、今までと違ったのは習っているということもあって、あきらめないで石にかじりつくように毎日毎日午前中から店に出てピアノの前に座り、ひたすら先生に言われたとおりにジャズのコードを繰り返し繰り返し弾いておりました。するとすると、あるところから、パァーと光がさすように、氷が解けるように今まで解らないことが体感的にわかったのですよ。もう、感動しました、ほんと。なんだ、こういうことなのか、アドリブって、と。

 ここでちょい説明しますと、これ解ったからといってプロのようにすごいアドリブが弾けるということではありません。この解ったところから、大変な練習によりスラスラと弾けるアドリブというものが身に付くのであって、要はここに立つのがジャズアドリブのスタートなんですね。でも、大概の人が僕と同じようにこのスタートに立てずに挫折していくのだと、思います。そう、なんです。この壁を乗り越えると、弾ける弾けないはともかくアドリブがどういうことか、ということは理解できる。そうなると、今まで聴いてきたジャズも全然違うように聴こえてくるのです。

 みんな神様だと思ったジャズピアニストが、ああ、あの人はこの程度のことしかやってないのか、とか、あの人は天才というが本当に凄まじい大天才なんだ、とか、すごーく深いレベルのことが解るようになる。そして、自分もすごい端っこですが、やっとアドリブっぽいことができるようになってくる。もうね、めちゃくちゃ楽しいのですよ、ここに到達すると。

 つまり、ちょい深レベルに到達すると、そのこと自体の面白さもありますが、それを取り巻く環境や、その世界がどう成り立っているか、というようなことまで解ってきたりするので、さらにいろいろな興味が湧いてくる、という相乗効果もあるのです。

 実際、今はジャズピアノを弾く余裕がなくて、ぜんぜん練習しておりません。だから、今はアドリブも上手くできないと思います。ただ、ここまでのレベルで理解だけはしているので、どうやってまた練習再開すればいいのか、ということは解っているつもりです。ですので、一度そこに到達すると、まったく解らなかった頃に逆戻り、ということはない。それは、ジャズピアノでも料理でも同じ、だと僕は思います。だからこそ、その壁を我慢して乗り越える、ということが大事なんであります。

 面白いこと、それが一生の付き合いになるかもしれない、そしてそれは一つの壁を乗り越えることから始まるような気がします。だからこそ僕は、何でもあるところまでは突き詰めてみよう、と思ってしまうのかもしれません。

続く

 

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